カバーステッチミシンで裾あげ
アトリエにあるカバーステッチ(扁平縫い)ミシンは「ふらっとロックBL72S」です。
他メーカーから家庭用で出ているものでは、ジャノメの「トルネィオ」があります。
(ジャノメは使用したことがないので、使用感やステッチの精度など自分の実体験としてはわかりませんが、どのミシンも、各メーカーごとの情報は持っているので、購入前に迷われた場合は、各クラスでご相談やご質問ください。
※在籍生以外の方からの相談のお問い合わせを、会社・個人に関わらず、時々いただきますが、すみませんが、在籍生徒さん以外への相談にはお応えしないことといたしました。)
縫い目の種類毎にミシンが分かれると、縫いたい縫い目の数だけミシンの台数が必要になり
ますが、ニット縫製でいうと、直線縫いミシン+4本ロックミシン+カバーステッチミシンの3台が
あると、作れる幅が大変広がり、ほぼ対応できます。
instagramの方に、baby lockの「ふらっとロックミシン」のよくない形状について画像をあげまして、
使用感として、指摘している箇所のミシンの形状は本当によくなくて、
改良されてほしい、といつも思うのですが、
それ以外は、家庭用ミシンとしては安定して縫え、便利なミシンです。
ニット縫製のみでしか使えないと思うかもしれませんが、結構いろいろなことに使えたりします。
その一つの例の紹介として、少し前に、ジーンズの裾上げをしました。
表面は普通のステッチ、裏面は環縫いのチェーンステッチ。
(ちなみに、この時は、上糸に#20ジーンズステッチ糸+下糸に#60キングフィットを使用。
どの糸を選び使うのか?も、生地に合わせてその時々に適した糸を使用してくださいね。)
ジーンズの裾あげのステッチは、直線縫いでもよいですが、生地により決めるとよいと思います。
(こだわりのある人は、チェーンステッチでないと!という場合もあるかと思います。)
裾あげのため、カットした部分。
こんなにも伸びて縫われてしまっています。
(普通に販売されている製品で、安価なものでなくても、このように縫製品質が悪い商品は結構多いです。)
直線縫いで裾あげされていました。
この生地は、綿95% ポリウレタン5%。
ストレッチのきいたジーンズではよくある混率です。
同じ素材、同じ混率でも、生地の厚みや伸縮率が違うことは多いです。この生地は薄めで、
とにかく伸びがすごくよい(&戻りがさほどよくない)生地。
糸も縫い方も、生地に合わせて臨機応変に
最適に決めていくことが必要です。
カットした部分は、捨てずに、試し縫いに使います。
本番で縫う厚みと同じ、三つ巻きされたところのみを試し縫いに使用します。
生地面積が少ないことと、既に直線縫いで縫い止められているので、縫製による生地の伸び具合については、残念ながら試し縫いから正確な情報が得られません。
普段、このミシンで#20ジーンズステッチミシン糸は滅多に使わないので、糸調子をしっかり合わせることと、(しっかりしたデニム生地でないため)針の太さを慎重に見極めます。
ということで、(試し縫い用に使える生地がないため)縫い始めの早い段階で、生地の伸縮を確認して、伸縮ダイヤルを正しく合わせます。
画像の左側、やや縫い目が伸びているところが伸縮ダイヤルがまだ合っていないところで、縫いながら合わせて、右側が、伸縮ダイヤルが正しく合った縫い目。
購入時の状態と違い、生地を伸ばさずに裾あげ完了。
裾あげせずに履ける長い脚が欲しいものですが、もう無理なので^^;
裾あげは面倒だったりもするのですが、今回のケースで言うと、縫製品質が悪いために、ジーンズの裾がだらしなくも見えていたので、裾あげ箇所のステッチが正しく入りよかったケース。
(裾あげしない場合でも、縫い直した方がよかったケース。)
製品染めされていて、裏やポケットの中等は、元の無地の生地の色が見られます。
製品染めなど、加工段階で使われた染料や薬剤等の影響か?(加工で特にポリウレタン糸が劣化した等) もともとこういう生地なのか?わかりませんが、ストレッチとはいえ、ストレッチ過ぎる!なジーンズ。
ネット通販では、生地の伸縮具合だけは完全にはわからないので届いてからの答え合わせ。
これは部屋着に履こう!なくらい楽チンデニム。
縫い目がカバーステッチ、チェーンステッチでないと!なこだわりがある場合以外は、
こういった織物生地の裾あげは、ニットほどに伸びる生地でなければ、直線縫いで縫うとよいと思います。(ジーンズの裾あげのチェーンステッチは、専用の工業用ミシンが使われます。)
ストレッチのきいた生地の裾あげでは、横方向へ縫うので、更に縫い目が伸びやすく、
職業用直線縫いミシンには伸縮しながら縫う機能がありませんので、適材適所で、
カバーステッチミシン(でチェーンステッチ)を使用するとよいと思います。
裾あげ等では、全く問題がないけれど、
この狭さで、縫えるものも縫えない、縫えても縫製品質が下がってストレスになることが時々あり、(メーカー的には、そんなにいろいろなアイテムを縫う人はいない、と思ってこの形状かもしれないですが)どうしてこんなに狭いか!!?
(犬服の制作と裾始末だけなら問題ないので、それ以外の使用予定が無い方は安心して使って下さいね。)
長らく形が変わっていないミシンなので、
今後も変わることがないのかなと思うと....
テーブルがコンパクトな工業用ミシンを探し続けるしかなさそうかな 涙。
ということで、
裾あげ一つするにも、何も考えず、漠然とただ縫う、だと
せっかくの情報や上達のチャンスが奪われてしまってもったいないです。
毎回、適した糸・適した針・適した押え・糸調子・押え圧・縫い目の大きさ・(伸縮ダイヤル)などなど
きちんと考えて、きちんと合わせて縫うことをしていれば、
ミシンは使えば使う程、いろいろなことがわかってきて、経験値と情報が増えていき、
縫製の精度にもこだわり繰り返し縫っていると、どんどん上達していくはずなので
毎回、「きちんと準備してきちんと縫う」を心がけてくださいね♬
犬服以外でも、どんどんミシンを使って下さいね!
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