犬服のパターン方法について
現在、スクールで学んでいただいている犬服のパターン(製図方法)は
私が独自に考えて、製図方法を作り出した方法になります。
人のパターン方法をそのまま犬用に転化したものではなく、
犬のために考え、犬の快適さを第一に、作りやすいよう考えた犬服専用の方法になっています♬
犬服のパターン法については、他から得られる情報の内容と、違う点が多いと思います。
犬服パターンには、今現在、人間服のように「〇〇式」などのように数ある方法が確立されていません。
生徒さん達は、他がこうみたいだから、その情報量の方が多いから、手作り本にそう書いてあるから、でなく、スクールで学んだ方法でパターン作りをしてください。
犬服作りには、スクールで学ばれるパターン法が一番良いはず。と太鼓判です。
独自性が高いはずなので、私だからこその方法が結構つまっている製図法になっています。
私の思考性を強く反映した方法で、その思考がどんなものか
伝わる記事が書けたらいいなと。
補足をしますと、私の犬服の製図方法は、今現在、イタグレ犬種以外に対応可能です。
バッチリ修得されたら、必ず、どんな体型でも、体に合う服が作れます。
(イタグレも、腰部分までは普通に対応可能です。背中側の腰部の曲線が大きくお尻が落ちていない場合は対応可能)
イタグレ犬種に関しては、他の犬と体の立体形も動き方も違いがあり、
今ある方法をベースに、(腰から後脚にかけての体型に関して)今ある方法の上に、イタグレ専用の製図方法を開発し積みあげるため、今現在、試着をしてもらいながら、研究開発段階で、一から作っているところです。
どうして、腰から後脚にかけて専用の方法を開発しようとしているのかも、
全て、下記に書いていく私の思考によります。
イタグレ専用のパターンについては、また後で書こうと思います。
製図法を作ったけど、パタンナーではない
私は、人の服も犬の服もパターンをパタンナーに依頼せず、全部自分でひきます。
犬服の製図方法も考えて作りました。
でも、パタンナーではありません。
本当は、デザインが一番好きで、デザインを一番したいタイプ。
パターンも縫製も好きだけど、デザインが一番好き。
パタンナーが開発した犬服の製図方法でない、という点は結構大きな特徴ではないかと、
そして、それが大きな利点になっているのでは?と勝手に思っていたりします。
自分の中にあるデザインを形にするために、
イメージや微妙なニュアンスを一番わかり理解しているのはまさに自分。
だから、自分でパターンを引き、そして縫い、形にするのが、最も具現化には最適なのでは?と、服を学び出した頃にふと思いました。
どの工程も好きで、好感触だったため、一通りを自分だけで完結できる方向付けが自然と決まり、クチュリエール(デザイン〜パターン〜縫製までする技術者)になりたい、なろう、と決めました。
分業されることが多い、デザイン・パターン・縫製を一人で行うと
分業では意識されない意識や視点が芽生えていると思います。
大事にしたい部分が大事にできたり、生地を含め素材選びから、何から何まで全部完結するので、自分らしさを究極に詰め込める。こだわりをそのまま一貫して詰め込める気がします。
完全にパターンと縫製(仕様)が決定(サンプル完成)して、あとは作るだけ、となるまでは、
はじめにデザインをしてからパターンをひくけど、パターンひきながらもデザインします。
パターンひきながらデザイン脳も縫製脳も動く。
縫製しながら、デザイン脳もパターン脳も動く。
パターン作業に入って以降は、常に3種類の脳が同時に動くイメージ。
生地を触ってるとき、デザインもパターンも縫製も考えます。
パターンひきながら縫製のこと考えるし、
縫製しながらパターンのこと考えるし、
パターンや縫製しながらデザインのこと考える。
そして、それらが全部で全部、完全に絡まり合って、服作ります。
分業で各工程専門の場合、その工程ではその脳だけで作業するので、
その分野だけに特化して専門性を深められ技量が高くなる利点があるでしょうが、
3つの視点を持つ3種の脳がそれぞれ絡み合って作業することは、かなりの利点だと思っています。
そして、その3つ全部をできる人は予想以上に少なく、
どれも好き!どれも得意!な人は限りなく少ないみたい。
ということは、3つができるなら、それだけで、作られ方として他との違いが生まれている!と思うし、私は3つの脳を絡ませて服を作るのが好きなタイプです。
そのおかげで、今、各工程全てで講師ができているのだろうし、
トータルの把握ができているからこそ教えられる内容が多いと思います。
いきなりデザイナーやパタンナーに依頼したり、量産依頼する生徒さんは限りなく少ないと思うので、全行程を一人でする際に起こるいろいろなことも、既に一通り経験してきているだろうから、生徒さんの質問にも答えられるし、また、どんなことを学んでおいた方がいいか、の判断がつくのだろうと。
服と犬への「愛」と「敬意」が土台です
私は、作る意味でも 着る意味でも ただ単に見る(眺める)意味でも
いろんな意味で、服が大好きです。
一種の服オタかもしれません。
服だけでなく、素材となる生地も、これまためちゃくちゃ大好きで
1日中、生地を見続けても飽きません。生地オタでもあるかも。
服を作る機械となる ミシンや道具もこれまた好き。
付属品となるボタンも糸も。
服に関わる全てのものに興味が向き、全てがすきです。
「服をデザインする」「服を仕立てる」を出発点として、
関わるもの全てがすきで、自然と全てに興味が向きましたが、
服を形にするためには、それら全ては私の中では絶対的に必要なものばかりで、
必要なものが全部すきというのはラッキーで、だからこそクチュリエールも可能でした。
そんないろんな意味で服好きな私は、犬も大好きで、
「この犬種が好き」「自分ちのこが好き」が、おそらく多いと思われる中、
(私もかつてはその時代があったのですが)
どの犬種にかかわらず、もちろん自分ちの子達も大好きだけど
一番最初のフレンチブルはやっぱり大好きだけど
それでも他のお家の子達も好き、全犬種が好き、この世の犬の全てが好きだーー!!!に。
自分ちの子以外も、可愛すぎてたまりません。
犬と触れ合いはじめて以降、犬愛が膨らみ続け、結構深めの犬好きになっていました。
そんなわけで、服も犬も、浅いすきじゃなくて、
好きな人の中でも結構深めに好きな部類に入ると自分でも思う私が作った犬服の製図方法を教えているわけです。
これらの愛が土台になっているので、犬服のパターン方法も縫製方法も、
全て、犬愛と服愛で成り立っています。
自分の中で、犬と服へのとてつもない敬意が常にあります。
犬服作りにおいて、どちらへの敬意も欠かせません。
犬愛と服愛が、ブレたり変化することは永遠にないので、
「教える」に関しても、(その結果として)犬と服を大事にできない可能性が高い場合、どんなに希望要望をいただいても需要があっても教えない、ということも出てきます。
自分が関わり、どこかのわんこが、体に合わないストレス受ける服を着る。は絶対に避けたいことで、例えば、過去からどれだけ多くの生徒さん達から要望いただいても、つなぎ服をカリキュラムに入れていないのはこの考えに基づきます。
犬服収得度が高くない段階で「つなぎ服を作りたい!」と思ったときは、まず、
体に合ってない全身を覆う服を、自分が長時間着せられることを想像してみてください。
つなぎ服を作るには、普通の服が完全にできて、パターンでの服のあらゆるトラブル対策が自力でできる段階でないと、ハードルが非常に高いです。
自分に(ストレスを生まないパターンが)作れる力量があるか、今一度、考えてみてください。大丈夫!とならないなら、ほぼほぼ、犬にしわ寄せがいってしまいます。
犬にストレスがなく、犬にとって快適なことは絶対条件で、
その上で、服愛もあるから、着心地もよく、服としても美しさを求めたい。
人の服と犬の服は、私の中では、完全に分けて考えています。
人の服作りでは、服愛と服(作り)への敬意。
犬服作りでは、服愛と服(作り)への敬意+犬への愛と犬への敬意 がプラスされます。
完全に分けて捉えているけど、人の服も犬の服も、
どちらも同じく、私の思う美しさには、見た目だけのことでなくて、
着心地の良さ・動きやすさが絶対に含まれます。
「人の服作るよりも犬の服作る方が難しい」の意識が大切
作る人間はどんなに頑張っても犬にはなれないし犬服の試着はできません。
犬は言葉で教えてもくれません。
そのために、ありとあらゆる感覚を駆使して、犬の快適さと心地良さを追求しないといけない点で、犬服は、人の服よりも難しいと考えます。
試着ができて、着心地や動きやすさを確認できるかできないかは、本当に本当に大きなことで、人間が一切の体感ができないという点で、非常に難しい。
「犬服は簡単」だから「作りたい」という考えがある方は、もう一度、考え直して欲しいです。犬が何も言わないからできていると思えやすい、だから簡単と思えているだけです。
犬になれない・犬服を体感できない私たち人間が犬の服を作るのは本来難しいのです。
(「難しさ」って人によって捉え方が違うかもしれないけど
難しいからこそ面白いです。難しさに真摯に向き合うのは楽しいです。
人の服と犬の服では、難しさや追求する方向性が違うので、
人の服の方が簡単!てなわけでもないです^^;)
生まれてずっと人間の私達は、どんな姿勢をとるか、どう体が動くか、どこに肉がついているか、肌触り、などなど、日常の中で普通に感じ取れているから、人の服を学ぶ際、いきなり作り方から学んだって、まぁ、いける。(と思う。)
人間は寝るとき座るときこんな姿勢で関節はこう曲がります、とか腕は前後に動きます、とかいちいち考えなくても、それぞれが想像できるので問題ないけど、それと同じ感覚で犬の服を作ってしまうと、人の形をそのまま反映させた犬の脚の正しい位置もわかっていない体に添わず動きにくい服になる。
(生徒さん達からよく聞く、袖ぐりの形がおかしい系の服の話は、これかなと思っています。)
犬でない人間が、犬だけが着る服を作る。となると、意識を向け過ぎるほど向けないといけないことが、ものすごく沢山あって、わかっていないことが増えるほど、犬に不快な服になる確率が上がると思います。
「犬作りを学ぶ」=「犬の体型や動き方を把握する」+「犬服の作り方を習得する」
「着心地よく着れる服」という意味では、どんなに人間の服が作れても犬の服は作れない。
服は、見るものではなくて、着るものだから。
形になってるだけではダメです。
犬服の形になってるだけの服は、犬服ではなくて「犬服っぽい服の形の物」です。
犬が問題なく着れる服が「犬服」です。
人は、肩が凝ったり着心地悪い服は着なくなる。
でも、犬は着せ続けられる可能性がでてくる。
着心地悪い服から生まれるストレスや体の不調ははかりしれなくて「元気で長生きしてほしい」の逆になる。
市販品だから、大きな会社が作っているから、そんなのちゃんと考えて作られてる。と判断するのは早計で、犬服に関しては、犬が何も言えないから、そうでない犬服が非常に多い現状がある気がします。
更に手作り人口が増え、知識の少ない素人さんでもお手軽に簡単に形にできるし作れるジャンルだという誤解が広まっているのでは?という不安があります。
ぬいぐるみに着せる服ではないのに。
きっと、愛犬家にはこの気持ち、伝わるはず・・・と。
犬服は特に、作り手側の犬への愛と敬意が必要だと私は思います。
そこが抜け落ちると、主役であるはずの犬の存在を無視した「犬服」という名の人間の欲求と自己満足の塊の服の形をした物になってしまう。
人だけが楽しむものでなく、犬服は必要だからこそ、
人も犬も楽しめる犬服作りが広まってほしいです。
ただいま、イタグレ服のパターン法の研究・開発中です
昨年、イタグレと初めてご体面できました。
それまでは、ちらっと見かける程度、たま〜に、お散歩されてる時に通り過ぎる程度で、
体型がかなり違いすぎる!とはわかっていましたが、
身近に全くいなくて接する機会がありませんでした。
犬種として分けて捉えていましたが、昨年に直接出会える機会が作れ、
生徒さんの要望もあり、既にある犬服製図方法の中で、体型の特徴に合わせた方法を少し模索したらいけるだろうと、スタートは安易に製図方法の模索を始め、腰から上半身は簡単に解決しましたが、腰から下半身は、今まで、犬服作りのために用いてきたパターンの方法とは違うアプローチが必要なことがわかりました。
ということで、
イタグレ服のパターン開発について、次回に分けて書こうと思います。
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